
まつ毛パーマは忙しい朝のメイク時間短縮やパッチリした目元を演出できる人気の美容法です。
しかし、一方で「まつ毛パーマが原因でまぶたが下がる(眼瞼下垂)ことがある」という情報を耳にしたことがあるかもしれません。眼瞼下垂とは上まぶたが垂れ下がって目が開けにくくなる状態で、根本的な治療には手術が必要になるため、まつ毛パーマが関係しているのなら対処したい方も多いでしょう。
この記事では、まつ毛パーマと眼瞼下垂の関係、まぶたへの影響、トラブルを予防・軽減する方法などについて紹介します。まつ毛パーマと眼瞼下垂の関係や予防法、もし眼瞼下垂になった時の対処法などを知りたい方はぜひ参考にしてください。
まつ毛パーマと眼瞼下垂の関係とは
まつ毛パーマは直接まつ毛にカールをつける美容施術ですが、眼瞼下垂の原因になる可能性があります。
ここでは、まつ毛パーマと眼瞼下垂の関係について紹介します。
なぜまつ毛パーマが眼瞼下垂の原因になるのか
まつ毛パーマによる刺激や炎症、過度な施術は、眼瞼下垂の原因になることがあります。そのため、適切な施術間隔や刺激への配慮が重要です。
まつ毛パーマはまつ毛を根元からカールさせる技術ですが、薬液やテープなどの刺激により、まぶたの皮膚や筋肉に炎症やダメージが生じる場合があります。また、皮膚が薄いまぶたでは負担が蓄積しやすく、特に施術頻度が多い場合には眼瞼下垂のリスクが高まる可能性があるため注意が必要です。
接着剤や器具によるまぶたへの物理的負担
器具でまぶたを持ち上げる行為の繰り返しや、接着剤による皮膚の引き締め・剥離の繰り返しは、まぶた周囲の組織に物理的な負担を与える原因です。
そのため頻繁にまつ毛パーマを繰り返すと、まぶたを支える筋肉や、筋肉とまぶたをつなぐ腱膜が徐々に伸びたり弱まったりする可能性が生じます。
そのような負担が継続すると、結果としてまぶたを持ち上げるための眼瞼挙筋が弱って下がりやすくなってしまい、眼瞼下垂の症状につながりやすくなります。
まつ毛パーマで眼瞼下垂を治すことはできない
インターネット上で、「特殊なまつ毛パーマで眼瞼下垂の症状が改善する」という説を目にすることがあります。
しかし、残念ながらまつ毛パーマでは眼瞼下垂そのものを根本的に治療することはできません。まつ毛パーマは物理的にまぶたを持ち上げているだけで、筋肉の機能そのものを回復させる効果がないためです。
眼瞼下垂は眼瞼挙筋や腱膜の機能低下によって起こるため、まつ毛を上向きにカールさせても筋力が戻るわけではありません。まつ毛パーマはあくまで一時的な見た目の改善策と捉え、根本的な治療は医療機関で行いましょう。
美容習慣が引き起こす眼瞼下垂のリスク
まつ毛パーマ以外にも、日々の美容習慣がまぶたに負担をかけ、眼瞼下垂のリスクを高める場合があります。
ここでは、まつ毛パーマ以外の代表的な美容法とまぶたへの影響について紹介します。
まつ毛エクステやつけまつ毛もリスクになる
まつ毛エクステ(マツエク)やつけまつ毛は、手軽に目元を華やかにできるアイメイク手法ですが、長期間続けると眼瞼下垂のリスクを高める可能性があります。
まつ毛エクステは自分のまつ毛に人工毛を装着し、片目あたり数十本、両目で100本以上もの余分な重さをまぶたに背負わせることになります。
つけまつ毛(つけま)も似たようなリスクがあります。つけまつ毛は一時的な装着で日々取り外すものですが、ボリュームのあるつけまつ毛を毎日のように使用すれば、それだけ日常的にまぶたへの負担がかかります。
このほか、二重まぶた用の接着製品(アイプチ・アイテープ)の長期使用も眼瞼下垂につながると考えられています。
いずれも使用する際には適度な休息期間を設けたり、本数や重量を抑えるなどの工夫で負担を軽減することが大切です。
美容液による皮膚刺激や炎症の影響
まつ毛美容液は美容効果が期待できるとして人気を集めていますが、一方で成分による皮膚刺激や思わぬ副作用にも注意が必要です。
副作用の代表的な例が「プロスタグランジン関連眼窩周囲症候群(PAP)」と呼ばれるもので、以下のような症状が出ることがあります。
- 眼瞼下垂
- 上まぶたのくぼみ
- 皮膚の色素沈着
- まぶたの皮膚のゆるみ
- 眼窩脂肪の萎縮 など
市販のまつ毛美容液にもプロスタグランジン類似成分が含まれている場合があるため、購入の際には注意が必要です。また、まつ毛美容液の使用でまぶたのかぶれや赤み、かゆみなどの炎症系トラブルが起こるケースもあります。
まつ毛美容液を使う際には、美容液がまぶたの皮膚に付かないようワセリンで保護するなどの工夫や、成分表を確認してから購入するなどの対策を取り入れましょう。
アイメイクの圧迫や摩擦が与えるダメージ
アイシャドウ・アイライン・マスカラなど、日常的なアイメイクのつけ方や落とし方も、まぶたへダメージを与えます。
特に注意したいのは、アイメイクを落とす際の圧迫や摩擦です。アイメイクをしっかり落とすためにクレンジングで強くまぶたをこすると、眼瞼挙筋腱膜を傷付け、眼瞼下垂を招く要因になることがあります。
対策としては以下が挙げられます。
- アイメイクはなるべく薄めにする
- 皮膚を引っ張らずにメイクをする
- メイクオフでまぶたを強くこすらない
アイメイクを落とす際、ポイントメイクリムーバーで十分に馴染ませてから優しく拭い取るのも、まぶたへの負担を軽減しやすくなるためおすすめです。
加齢や生活習慣と重なる複合的要因
眼瞼下垂はひとつの原因だけでなく、「加齢・美容習慣・体質」など複数の要因が重なって発症・進行するケースも多いです。
例えば、もともと人間は加齢とともに瞼を支える筋肉や腱膜が緩み、徐々に瞼が下がりやすくなります。そこに若い頃からのアイメイク習慣やコンタクトレンズ装用などの負担が加わると、下垂の現れ方が早まったり症状が悪化したりします。
また、花粉症やアレルギー性皮膚炎で目元を頻繁に擦る人も要注意です。
慢性的な炎症と物理的刺激が相まって腱膜が徐々に緩み、眼瞼下垂の症状が現れることがあります。
まつ毛パーマによる眼瞼下垂を予防・軽減するためにできること
まつ毛パーマを楽しみながら眼瞼下垂のリスクを抑えるためには、日頃のケアや施術方法に工夫を取り入れることをおすすめします。
ここでは、まぶたへの負担を減らす美容上の工夫や、異変を感じた際の対処法などについて紹介します。
まぶたへの負担を軽減する美容の工夫
まつ毛パーマやまつ毛エクステに頼りすぎず、まぶたへの負担を減らす工夫を取り入れてみましょう。
例えば、どうしても目力を出したい日以外はナチュラルメイクにして、まつ毛への負荷を休ませる日を作ってみてはいかがでしょうか。また、ビューラーでのカールやまつ毛美容液でのケアも上手に使えば、まつ毛パーマに頼らなくても目元の印象を変えることが可能です。
まつ毛美容液は成分を確認してから購入し、使用の際はまぶたに付着しないように注意するとなお予防につながるでしょう。
施術頻度や施術者選びの注意点
まぶたへの負担を軽減しながらまつ毛パーマやマツエクを楽しむためには、施術の頻度と施術者(サロン選び)に気を配ってみましょう。
一般的にまつ毛パーマの効果は4~6週間程度持続しますが、「カールが落ちてきたから」とすぐにかけ直すのではなく、最低でも1~2ヶ月程度のインターバルを置くことがおすすめです。頻繁な施術はまつ毛とまぶたに休む間を与えず、負担が蓄積してしまいます。
サロンを選ぶ際には、国家資格を持つ技術者が在籍し、かつ衛生管理の行き届いているかなどに注目しましょう。
自己流ケアとサロン施術の違い
最近はキットを使ったセルフまつ毛パーマをする方もいますが、自己流はやめ、サロンでプロの施術を受けることをおすすめします。
セルフ施術とプロが行う施術との代表的な違いは、安全管理と技術の習熟度です。
サロンでは目元専用の保護シートやテープを使用し、薬液が目に入らないよう細心の注意を払いながら施術します。一方、自己流では技術や知識の不足から、まぶたや目に薬液が垂れたり、何度もやり直してまぶたへの負担を増やす可能性が否定できません。
多少コストはかかりますが、サロンでプロによる施術を受けましょう。
違和感がある時にまず取るべき行動
まつ毛パーマをしていて、「まぶたに違和感がある」「まぶたが重くだるい」などの感覚があれば、できるだけ早く対処しましょう。
具体的には以下のような対処をおすすめします。
- 装着中のまつ毛エクステやつけまつ毛を外す
- まつ毛パーマ直後であればまぶたをよく洗って薬液の残留を落とす
まぶたの腫れや赤みがある場合は、清潔な冷たいタオルで冷やして炎症を鎮めましょう。それでも症状が治まらなかったり、上まぶたの下がり(眼瞼下垂の症状)が見られる場合には、早めに医療機関を受診してください。
眼瞼下垂かな?と思ったら
「もしかして自分は眼瞼下垂かも?」と感じたら、放置せず専門の医師に相談することが肝心です。
ここでは、眼瞼下垂の症状に気付いた時に取るべき行動について紹介します。
形成外科で行う診察と検査のポイント
眼瞼下垂が疑われる場合、まず形成外科や眼科を受診しましょう。
例えば形成外科では、医師が視診と触診でまぶたの状態や左右差、額や眉の動きなどを丁寧にチェックします。必要に応じて、視力検査や視野検査が行われることもあります。
特に中等度以上の眼瞼下垂では上方視野が狭くなり、日常生活に支障が出やすいため、どの程度視野が遮られているか確認が必要です。また、顎を上げたり眉毛を上げたりといった代償動作の有無や、それによる肩こり・頭痛などの症状について問診されることもあります。
このような情報と検査結果を総合して、医師が現在のまぶたの状態に適した治療方針を提案します。
軽度から中等度の症状でも早期相談が安心
「まだ日常生活に大きな支障はないし、軽度だから様子を見よう」と思うかもしれませんが、軽度から中等度の段階であっても早めに専門医に相談することをおすすめします。眼瞼下垂は進行性の場合もあり、軽い症状でも放っておくと徐々に悪化していくケースがあるためです。
例えば、現状は少し瞼が下がっている程度でも、年齢とともにさらに皮膚のたるみや筋力低下が加わり、数年後には視野障害や慢性頭痛に悩まされる可能性が高くなります。
早期に相談しておけば、経過観察のポイントや日常生活で気をつけることのアドバイスを受けられ、進行を防ぎやすい習慣を取り入れやすくなるでしょう。
自己判断せず医療機関で診察を受ける
眼瞼下垂かどうかを自分で判断するのは難しいため、医療機関での受診をおすすめします。
眼瞼下垂は脳梗塞のような重大な病気の症状として出ているケースもあり、自己判断では見逃してしまう恐れもあるためです。形成外科や眼科で診察を受け、正しい原因を知った上で治療していきましょう。
症状改善と見た目にアプローチできる形成外科
眼瞼下垂の治療を検討する際、形成外科を選ぶメリットは、機能回復と同時に審美面への配慮も期待できる点です。
単にまぶたを持ち上げるだけでなく、左右差の調整や二重のラインの形成など見た目の美しさにも、保険診療内で可能な限りこだわった手術を行います。
ただし、患者さんが仕上がりに強いこだわりがある場合、保険診療内では難しいこともあります。その際は自由診療の美容外科への紹介も可能なことが多いため、医師に相談してください。
当院、医療法人まぶたラボ ひふみるクリニックでは、形成外科・美容外科を併設しているため、最初は保険診療で受診した患者さんも、ご希望や必要に応じてより美容面を重視した自由診療への移行が可能です。
まとめ
まつ毛パーマはまつ毛を美しくカールさせる美容施術ですが、繰り返しの施術によるまぶたへの刺激や負担が蓄積すると眼瞼下垂を招く原因になります。適切な施術頻度を意識して、信頼できるプロに任せ、日頃からまぶたを労るケアを取り入れて対策しながら楽しみましょう。
もしまぶたに違和感や症状が現れた場合、早めに医療機関で相談し、自己判断で放置しないことが大切です。
医療法人まぶたラボ ひふみるクリニックでは、まつ毛パーマを始め、アイメイクが原因と思われる眼瞼下垂の診断・治療に対応しています。
形成外科専門医が患者さん1人ひとりに合わせた治療法を提案し、下がったまぶたを改善することが可能です。患者様のご希望があれば、仕上がりのこだわりをより実現しやすい美容外科での対応も可能なため、まずは形成外科を受診し、ぜひ詳細をご相談ください。


