
まぶたが重い、片目だけ開けづらいと感じたことはないでしょうか。もしかすると、それは眼瞼下垂のサインかもしれません。眼瞼下垂は放置すると視界が狭くなったり、肩こりや頭痛などの不調につながることもあり、違和感があったら早めの受診が大切です。
しかし、「何科に行けばいいの?」「目元の手術は美容外科でもいい?」「費用はどのくらい?」といった疑問から受診をためらってしまう方もいるかもしれません。
この記事では、眼瞼下垂の症状やセルフチェックの方法、受診すべき診療科の選び方、保険適用の可否について解説します。ご自身やご家族の目元に気になる症状がある方は、ぜひ参考にしてください。
眼瞼下垂かもしれないと思ったら
まぶたが重たく感じたり、目が開けづらいと感じたりする場合、眼瞼下垂の可能性があります。
眼瞼下垂は、先天性のものもありますが、後天性の場合、加齢や日常の習慣によってまぶたの筋肉が弱くなり、視界や日常生活に支障をきたす病気です。特に、中高年では気がつかないうちに進行していることも多く、「年齢のせいかも」と放置してしまう方も少なくありません。
ここでは、眼瞼下垂の代表的な症状や、ご自身でできる簡単なセルフチェック方法について紹介します。
眼瞼下垂の症状
眼瞼下垂は、上まぶたを引き上げる力が低下することで、まぶたが垂れ下がってくる状態です。
症状には個人差がありますが、以下のようなサインが見られることが多いです。
| よくある自覚症状 |
・まぶたが重く感じる ・目を開けるのに力が必要 ・黒目の上部がまぶたで隠れる ・上方の視野が狭くなる ・慢性的な頭痛や肩こり、眼精疲労 |
|---|---|
| 見た目に現れる変化 |
・眠そう、疲れて見えると言われる ・額に深い横ジワができる ・写真で片目だけが小さく写る ・無意識に眉毛や顎を上げてしまう |
これらの症状がある方は、日常生活の中で眼瞼下垂が少しずつ進行している可能性があるため、早めの受診が大切です。
眼瞼下垂のセルフチェック方法
眼瞼下垂は、自宅でも簡単にセルフチェックができます。
- 正面を向いた状態で、目を軽く閉じる
- 両眉の上に指を当てて軽く押さえる
- そのままの状態で目を開ける
このセルフチェックをした際に、額に力が入っている・目が開きにくいと感じた場合は、眼瞼下垂の可能性があります。
また、以下のような見た目と身体の不調からも、チェックすることができます。
- まぶたが開きづらい
- 黒目がまぶたで隠れている
- 眉毛が無意識に上がっている
- 額に深い横ジワがある
- 二重の幅が広がってきた
- 上のほうが見えにくくなった
- 顎を上げる癖がある
- 肩こりや頭痛が慢性的にある
- 眠くないのに「眠そう」と言われる
これらの症状を複数感じたことがある場合も、早めの受診をおすすめします。
眼瞼下垂で受診すべき診療科は?
眼瞼下垂の治療は、症状や目的に応じて受診すべき診療科が異なります。
代表的なのは、眼科・形成外科・美容外科の3つですが、神経の異常が疑われる場合は、脳神経外科や神経内科の受診も必要です。それぞれの特徴を理解し、自分に合った医療機関を選びましょう。
また、どの診療科であっても、信頼できる医師を見つけることが大切です。眼瞼下垂手術は見た目にも大きく影響するため、納得いくまで丁寧に説明してくれ、親身になってくれる医師を探すようにしましょう。
眼科
眼科は、視機能やまぶたの動きといった目の機能面を専門に診る診療科です。
眼瞼下垂の診断では、視界がどの程度遮られているか、目の開きに関わる筋肉に異常があるかどうかを、専用の検査機器を用いて精密に調べます。また、眼瞼下垂に似た症状を示す偽眼瞼下垂や、脳・神経系の病気を見逃さないためにも眼科で目を詳しく見てもらうことが第一歩となるかもしれません。
しかし、美容的な仕上がりや二重幅の調整などには対応していないことが多く、手術も機能改善が主な目的です。
形成外科
形成外科は身体の表面の異常を治療する診療科で、まぶたの手術にも対応しています。
手術においては、傷を目立ちにくく縫合する技術に長けており、審美面にも配慮がなされます。
眼球の詳細な検査は眼科ほど専門ではありませんが、眼瞼下垂手術は形成外科の専門領域であり、保険適用内で見た目のバランスにも配慮した治療を受けたい方には適しています。まぶたを専門にする医師や眼瞼下垂手術の経験が豊富な医師がいるかを事前に確認しましょう。
美容外科
美容外科は、見た目の改善に特化した診療科で、目を大きく見せたい・左右差を整えたいなどの審美的な希望に応じた治療が可能です。
二重術やたるみ除去といった施術を併用し、総合的に目元のデザインを整えることができます。
ただし、原則として自由診療となるため、費用は全額自己負担になります。
脳神経外科・神経内科
片目だけ急にまぶたが下がったり、顔の動きに左右差があるなど、神経の異常が疑われる場合は、脳神経外科や神経内科の受診が必要です。
動眼神経麻痺や重症筋無力症など、まぶたの筋肉を動かす神経に問題が生じているケースもあり、早期診断と適切な治療が求められます。
眼瞼下垂を何科にするか選ぶポイント
眼瞼下垂かもと思った際に診療科をどこにするかの選択は、症状の原因や治療の目的によって異なります。
以下のポイントを参考に、自分の症状や目的と合わせてどこを受診すべきか判断しましょう。
眼科が適している方
目の機能についてフォローしてほしい方は眼科が適しています。
眼科は目の専門医であるため、まぶたが垂れる症状だけでなく、目の機能が阻害されていないかについても気になる方は眼科をまず受診しましょう。また、医療保険を利用して治療を受けたいが、審美性よりもまぶたが開くことを優先する方も眼科が向いています。
形成外科が適している方
形成外科は、まぶたの手術において、保険適用内で見た目にも配慮を行うことが多いです。
形成外科が適しているのは、以下のようなタイプの方です。
- 保険適用内で、見た目にもある程度配慮した治療を受けたい
- まぶたのたるみや左右差も改善したい
- 傷あとをできるだけきれいにしたい
- 機能改善と見た目のバランスを両立したい
形成外科は、見た目を整えたいが、あくまで医療目的として治療したい方に向いています。
美容外科が適している方
美容外科は保険診療では対応できない細かい希望がある方に適しています。
例えば、以下のような要望を持っている方です。
- 目元の印象を大きく変えたい
- 二重の幅調整や、目を大きく見せたいなどの審美的な希望がある
- 費用は自己負担でも良いので、理想の目元に近づけたい
- 他の美容施術と組み合わせて治療したい
美容外科の眼瞼下垂手術は、保険適用外になるため費用が高額になりますが、それでも審美性を重視したい方に向いています。
眼瞼下垂手術の費用相場の違い
眼瞼下垂手術の費用は、保険診療か自由診療かによって大きく異なります。
治療の目的が機能改善なのか、美容的な仕上がり重視なのかによって選択すべき診療スタイルが変わるため、それぞれの違いと費用の目安を把握しておくことが重要です。
保険診療と自由診療の違いは?
保険診療は、病気や怪我に対する治療が目的とされ、国の定めた基準に基づいて行われる医療行為です。公的医療保険が適用されるため、治療費の自己負担は基本的に3割以下となります。
一方、自由診療は保険が適用されない診療で、審美性や個別の希望を反映した治療が可能になります。費用は全額自己負担となりますが、術式の選択肢が広く、仕上がりのデザインにも柔軟に対応できます。
治療内容の自由度と費用負担のバランスを考慮し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
保険適用の場合
眼瞼下垂で保険が適用されるのは、眼瞼下垂が視野障害やまぶたの機能低下を引き起こす疾患として認められた場合に限られます。眼科や形成外科での治療が対象となり、美容目的の施術は含まれません。
費用面では、手術方法によって異なるものの、標準的な眼瞼下垂手術では、両目で50,000円程度(3割負担の場合)で受けることが可能です。また、診察料や検査料、麻酔料などは別途必要になる場合があります。
ただし、症状が軽度で日常生活に支障をきたさないと判断された場合は、保険適用外となることや、二重幅や左右差の細かい希望までは反映されないことに注意が必要です。
自由診療の場合
自由診療は、主に美容外科で提供されており、見た目の仕上がりや患者さんの要望に合わせたデザイン性の高い手術が可能です。保険が適用されないため、費用は高額になりますが、目の印象を大きく変えたい方や、二重幅や左右差などの細かな希望を重視する方には適しています。
自由診療で、標準的な眼瞼下垂手術を行う場合は、費用が50~60万程度かかることもあります。自由診療では、希望する術式やオプションを選べる一方、クリニックごとに料金や対応内容が異なるため注意が必要です。
事前に複数の医療機関でカウンセリングを受け、費用や術後のイメージを比較することが重要です。
眼瞼下垂の受診の流れ
眼瞼下垂の治療は、手術が必要かどうかの診断から始まり、手術後の経過観察まで、いくつかのステップを踏んで行われます。
ここでは、一般的な受診から手術、術後のフォローまでの流れを紹介します。
問診・検査
最初に医師による問診と診察が行われます。
- 眼瞼下垂の症状に気づいた時期
- アレルギー(アトピー性皮膚炎・花粉症など)の有無
- 過去の目元の手術歴
- 生活習慣
- 既往症の有無
以上のような項目について詳しく聞いたうえで、検査を行います。
検査は、まぶたを持ち上げる筋肉である眼瞼挙筋の筋力検査や視野検査などを行うのが一般的で、問診と検査結果をもとに、眼瞼下垂かどうか、手術の適応があるかを判断します。医師が手術の必要があると判断した場合、保険診療が適用される可能性があります。
採血
手術を安全に行うために、術前の採血検査が必要です。
血液検査によって、全身状態に問題がないかを調べ、結果に問題がなければ手術日を決定します。
手術
手術前には、洗顔を行いメイクを落とします。食事などの制限に関しては、手術を受ける医療機関からの注意事項をきちんと守りましょう。
手術は局所麻酔を使用することが一般的ですが、医療機関によっては、笑気麻酔を使用し痛みを抑える工夫を行っているところもあります。
手術時間は30~40分程度で、日帰りで行う医療機関が多いです。終了後は、患部を確認し、問題なければ帰宅となりますが、運転は自身で行うのは避け、家族の送迎や公共交通機関を利用しましょう。
術後
術後の一般的な流れとしては、以下のようになります。
- 術後の翌日に再診し、傷口や腫れの状態をチェックする
- 1週間後に抜糸を行う
- さらに術後1か月、3か月、6か月と定期的に経過観察を行う
術後も今までの習慣から額の筋肉でまぶたを持ち上げようとする場合もあるため、リハビリトレーニングを指導することもあります。
術後の注意点には、以下のようなものがあります。
- 洗顔・洗髪……翌日の診察で止血が確認できれば可能
- 入浴やサウナ……許可が出るまで控える
- 運転……患部に問題がなければ翌日から可能
- 飲酒……腫れを悪化させる可能性があるため医師の許可が出るまで控える
- テレビ鑑賞……可能だが目の疲れには注意が必要
術後の感染や腫れの悪化などを防ぐために、術後の生活は医師からの注意事項を守りましょう。
眼瞼下垂で診療科を選ぶ際のよくある質問
眼瞼下垂の治療を検討する際、さまざまな疑問が出てくるかもしれません。
ここでは、眼瞼下垂で診療科を選ぶ際のよくある質問と回答を解説します。
眼瞼下垂の手術はどのような種類がありますか?
眼瞼下垂の手術には、症状の原因や重症度によって複数の方法があります。
| 手術方法 | 概要 |
|---|---|
| 挙筋前転術 | 加齢などにより、まぶたを持ち上げる筋肉がゆるんだり、外れたりしている場合に行われる。腱膜を本来の位置に縫合し直し、下がったまぶたを改善する |
| 挙筋短縮法 | 重度の眼瞼下垂に対して用いられる手術。弛緩した眼瞼挙筋を短縮し、まぶたを持ち上げる力を取り戻す |
| 筋膜移植法(前頭筋吊り上げ術) | まぶたを持ち上げる筋肉がほぼ機能していない場合に行われる。額の筋肉とまぶたを大腿筋膜などを用いてつなぎ、額の動きでまぶたを引き上げる |
| 眉下切開 | 眉の下の皮膚を切除することでたるみを取り除く手術 |
どの術式が適しているかは、検査したうえで医師が判断します。
内容について不安がある場合は、医師に納得のいくまで相談し、どのような手術で、どのようなリスクがあるのかなどを把握しましょう。
子供の眼瞼下垂は何科に連れて行けばいい?
お子さんに眼瞼下垂が見られる場合は、小児眼科または小児の診察を行っている眼科の受診が適切です。
特に、視力の発達が未熟な時期にまぶたが下がっていると、物が見づらくなり、弱視や斜視につながるリスクが高まります。実際に、小児眼瞼下垂では弱視の合併が報告されており、単にまぶたの手術を行うだけでなく、視機能を守ることも重要です。
診察では、まぶたの下がり具合の評価、視力検査、眼球の動きの確認、斜視や弱視のチェックなどが行われます。
まとめ
眼瞼下垂は、見た目だけでなく、生活の質にも影響を及ぼす病気です。どの診療科にかかるべきか、保険が適用されるのか、手術は必要なのかなど、気になることが多いかもしれませんが、まずは信頼できる専門医に相談することが大切です。
『ひふみるクリニック』では、保険診療に対応した眼瞼下垂の治療を行っており、機能面だけでなく自然な仕上がりにもこだわっています。
眼瞼下垂手術の実績が豊富な形成外科専門医がカウンセリングから施術まで担当しますので、患者さんの納得のいくまで相談にのりながら、治療方針を決定していきます。まぶたの症状が気になる方は、ぜひ一度『ひふみるクリニック』にご相談ください。


