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子どもの眼瞼下垂とは?原因・見分け方・治療法や費用もわかりやすく解説

2025.11.10

子どもの眼瞼下垂とは?原因・見分け方・治療法や費用もわかりやすく解説

お子さんの目元を見ていて、「まぶたが下がっている気がする」「片目だけ半分しか開いていない」といった気になる症状を感じたことがある方もいるかもしれません。

眼瞼下垂は大人だけでなく、赤ちゃんや子どもにも見られる疾患です。特に視力の発達が盛んな子どもにとって、早期の診断と治療はとても重要です。

この記事では、子どもの眼瞼下垂について、種類・原因・症状から治療のタイミング、手術の必要性、費用まで詳しく解説します。お子さんの目元の変化が気になる方は、ぜひ参考にしてください。

眼瞼下垂・目の形成専門サイト

子どもの眼瞼下垂とは

子どもの眼瞼下垂とは

眼瞼下垂とは、上まぶたが十分に開かず、黒目(瞳孔)にかぶさってしまう状態をいいます。

大人に多い症状と思われがちですが、赤ちゃんや小さな子どもにも見られることがあります。

視力の発達が盛んな子どもの時期にまぶたが下がっていると、視覚の発達に影響するおそれがあるため、早期の発見と適切な対応が重要です。

眼瞼下垂の定義と症状

眼瞼下垂は、まっすぐ前を向いたときに上まぶたが瞳孔の一部または全部を覆っている状態を指します。

子どもの場合、次のようなサインが見られることがあります。

  • 片目だけまぶたが下がっている
  • まぶたが開きにくく、目を細めてものを見る
  • 視界が狭く、頭を後ろに傾けて顎を上げる姿勢になる
  • 眉毛を持ち上げて目を開こうとする
  • 片目がずれて向いている(斜視)

特に赤ちゃんの場合は、自分で症状を訴えることができないため、保護者が表情やしぐさに注意して観察することが大切です。

子どもの眼瞼下垂の種類

子どもの眼瞼下垂は、大きく分けて先天性眼瞼下垂と後天性眼瞼下垂の2種類があります。

それぞれ原因と特徴が異なるため、詳しく解説します。

先天性眼瞼下垂

先天性眼瞼下垂は、生まれつきまぶたを持ち上げる力が弱いなどの理由で、出生時、または生後1年以内に発見されることが多い疾患です。主な原因は、まぶたを持ち上げる眼瞼挙筋の発育不全や、挙筋を動かす動眼神経の障害です。

特に以下のような背景が関与することがあります。

  • 眼瞼挙筋の未発達・機能障害:先天性眼瞼下垂の中で多くを占める単純性眼瞼下垂の原因
  • 動眼神経の異常:眼球の運動やまぶたの開閉に関わる神経に先天的な異常がある場合
  • 他の疾患との関連:他の疾患の症状として眼瞼下垂が現れる場合

また、先天性眼瞼下垂は、ほとんどの場合偶発的に発症しますが、一部では遺伝的な要素も関与するとされています。海外の論文では、常染色体優性遺伝によって家族内に複数の発症例が見られたという報告もあります。

(参考:Clinical Heterogeneity in Familial Congenital Ptosis: Analysis of Fourteen Cases in One Family Over Five Generations, Pediatric Neurology)

しかし、両親が眼瞼下垂を患っていても必ず遺伝するわけではないため、心配しすぎないようにしましょう。

後天性眼瞼下垂

後天性眼瞼下垂は、生まれたときにはまぶたに異常がなかったにもかかわらず、成長の過程で症状が現れてくるタイプです。

子どもの後天性眼瞼下垂の原因には、以下のような要因が考えられています。

  • 長時間のスマートフォンやゲームの使用による眼精疲労
  • アレルギー性結膜炎やアトピー性皮膚炎によるまぶたへの慢性的な刺激
  • コンタクトレンズの長期使用によるまぶたへの負担
  • アイプチなどの化粧品による皮膚のたるみや炎症

こうした外的刺激や生活習慣による影響が、まぶたを支える組織にダメージを与え、下垂を引き起こす場合があります。

子どもの眼瞼下垂があるとどうなる?

眼瞼下垂を放置すると、見た目の印象だけでなく、子どもの視覚の発達や姿勢にも悪影響を及ぼす可能性があります。視界が遮られると、物を見るために首を傾けたり顎を上げたりすることが多くなり、不自然な姿勢が癖になる場合があります。

また、片目だけ下垂していると、使われない側の目の視力が発達せず弱視になるリスクもあります。さらに、まぶたの左右差や表情の違いから、他人との関わりに不安を感じる・自己肯定感が低下するなど心理的な影響も考えられます。

先天性眼瞼下垂の症状と原因

先天性眼瞼下垂の症状と原因

先天性眼瞼下垂とは、生まれつき上まぶたを開ける力が弱く、まぶたが垂れ下がって黒目を覆ってしまう状態です。

新生児や乳児では、正面を見たときに片目または両目のまぶたが下がっていることで気づくことが多く、症状の重さは軽度から重度までさまざまです。

放置すると弱視や斜視の原因となることもあるため、早期の診断と経過観察が重要です。

赤ちゃんの眼瞼下垂のチェック方法

赤ちゃんは自分で症状を訴えることができないため、以下のようなケースが見られた場合、できるだけ早めに病院を受診しましょう。

  • 片目または両目のまぶたが垂れている
  • 目を開けづらそうにしている
  • ものを見る時に眉を上げている
  • あごを上げて見ようとするしぐさがある
  • 上目づかいで黒目が隠れてしまうことがある
  • 片目が外側を向いている

眼瞼下垂の診察は小児眼科・形成外科で行われるため、先天性眼瞼下垂の症例が豊富な信頼できる医療機関を探して受診することをおすすめします。

先天性眼瞼下垂の原因

先天性眼瞼下垂の主な原因は、まぶたを持ち上げる筋肉や、それを動かす神経の発達異常で、以下のような3つの要因が代表的です。

  • 眼瞼挙筋の発育不全
  • 動眼神経の機能障害
  • 他の疾患の影響

これらの原因について詳しく見ていきます。

眼瞼挙筋の発育不全

眼瞼挙筋は、まぶたを持ち上げる役割を担う筋肉です。

先天性眼瞼下垂の多くは、この筋肉が十分に発達していない単純性眼瞼下垂によるもので、約9割を占めるとされています。眼瞼挙筋が未発達だったり、機能が弱いことで、目をしっかり開けられず、まぶたが垂れた状態になります。

軽度であれば視力に問題ない場合もありますが、重度の場合には視野を大きく遮るため視力の発達に支障をきたすこともあります。

動眼神経の機能障害

眼瞼挙筋は動眼神経によってコントロールされています。

この神経はまぶたの開閉だけでなく、眼球の動きや瞳孔の調節にも関わる重要な神経です。生まれつき動眼神経の機能に異常があると、まぶたをうまく動かすことができず、眼瞼下垂を引き起こします。

このような状態は、先天性動眼神経麻痺と呼ばれ、斜視や眼球運動障害を伴う可能性もあります。

他の疾患の影響

先天性眼瞼下垂は他の疾患が背景にある場合も考えられます。

主に以下のような疾患で先天性眼瞼下垂が見られるケースがあります。

疾患名 特徴
重症筋無力症 筋肉を動かす神経伝達に問題が生じ全身の筋力が低下する。まぶたを開ける筋肉にも影響する
マーカスガン現象 食事や会話などで口を動かすとまぶたが不随意に動く
ホルネル症候群 交感神経の先天的な異常により、まぶたの下垂・瞳孔の縮小・顔面の発汗低下などが見られる

このように、先天性眼瞼下垂は、筋肉や神経の発育不全に加え、全身性あるいは神経系の疾患の一症状として現れることもあります。

子どもの後天性眼瞼下垂の症状と原因

子どもの後天性眼瞼下垂の症状と原因

もともと加齢が主な原因で高齢者に多いとされていた眼瞼下垂ですが、生活環境や習慣の変化により、近年では若年層での発症も増加しています。

ここでは、子どもの眼瞼下垂の主な症状や原因について解説します。

子どもの眼瞼下垂の症状

後天性の眼瞼下垂を発症すると、まぶたの開閉に支障が生じ、視界が狭くなることがあります。症状の程度によっては、見えづらさを補おうとして無意識に身体的な動作が加わることもあります。

主な症状は、まぶたが下がって黒目にかかる・額に力を入れて目を開けようとする・顎を引いて物を見る・まばたきの回数が増えるなどがあります。他にも、眼精疲労や目の違和感を訴えることもあるため、お子さんがこれらの症状を訴えた場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

これらの症状は、視力の発達や、学業・日常生活に影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。

子どもの後天性眼瞼下垂の原因

子どもが眼瞼下垂を発症する背景には、まぶたに対する日常的な負荷や習慣が影響していることが少なくありません。特に注意すべき4つの原因を紹介します。

スマホの使い過ぎ

スマートフォンやタブレットの長時間使用は、目の周囲の筋肉に大きな負担をかけます。

特に文字や画像を凝視することで、眼瞼挙筋や周辺組織に慢性的な疲労が蓄積し、まぶたを持ち上げる力が低下するおそれがあります。また、ブルーライトの影響でドライアイになることで、まばたきの増加・摩擦によるまぶたの損傷にもつながる場合もあります。

花粉症・アトピー性皮膚炎

目のかゆみを伴うアレルギー疾患も、眼瞼下垂の一因となります。

目をこすったり、まぶたを叩くなどの刺激を繰り返すことで、まぶたの皮膚や筋肉にダメージが加わり、徐々に下がってきます。花粉症やアトピー性皮膚炎の子どもは、無意識に目元を触ってしまうことが多いため、できるだけ目をこすらないように指導し、適切な治療やスキンケアを行いましょう。

コンタクトレンズの長期使用

中高生になると、コンタクトレンズを使い始める子どもも増えてきます。

しかし、ハードコンタクトレンズを長期間使用していると、着脱時にまぶたを引っ張る刺激や、まばたきのたびにまぶたとレンズの間で摩擦が生じます。摩擦が生じることで、眼瞼挙筋の付着部である腱膜が徐々にゆるみ、眼瞼下垂を引き起こす場合があるのです。

使用時間が長いほどリスクは高まるため、できるだけ装着時間を短くし、自宅ではメガネに切り替えるなどの対策が重要です。

アイプチやメイクのしすぎ

アイプチやつけまつげ、アイテープなどはまぶたの形を一時的に変えるアイテムです。

これらの長期間の使用によって眼瞼挙筋に疲労が蓄積し、まぶたを上げる機能が低下する場合があります。また、粘着部分による皮膚刺激や、まぶたを無理に引っ張る動作も眼瞼下垂の原因となります。

アイメイクを日常的にしている子どもには、使用頻度や方法を見直すようアドバイスしてみましょう。

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子どもの眼瞼下垂はいつ治療する?

子どもの眼瞼下垂はいつ治療する?

先天性眼瞼下垂は、まぶたが垂れ下がることで視界を妨げ、視力の発達に影響を与える可能性があります。

特に視力が発達する乳幼児期には、適切なタイミングで診察や治療を受けることが重要です。

何歳で受診すべき?

生まれつきまぶたが瞳孔にかかっている場合や、視力の発達に悪影響があると疑われる場合は、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。視力検査が可能になる3歳前後を目安に、定期的に経過を観察しながら、必要に応じて手術を検討するのが一般的です。

ただし、まぶたをしっかり開けて物を見ようとする動作が見られ、視力に問題がない軽度の症例では、思春期(およそ14歳以降)まで治療を見送る場合もあります。これは、顔の成長が落ち着くことで、手術の再調整が不要になるというメリットがあるためです。

どのような治療をするか、経過観察になるかは、医師の判断によります。まずは信頼できる医療機関を受診し、納得がいくまでカウンセリングを受けることも大切です。

どの医療機関を受診すればいい?

子どもの眼瞼下垂が疑われる場合は、小児眼科または形成外科の受診が推奨されます。

視力検査や眼球運動の評価、まぶたの開き度合いの測定などを通して、弱視や斜視の有無、治療の必要性を総合的に医師が判断します。

医療機関によっては、手術可能な年齢や治療方針が異なるため、まずは診断と説明を受けてから、信頼できる専門医のもとで継続的に経過観察を行うことが大切です。

子どもの眼瞼下垂の治療法

子どもの眼瞼下垂の治療法

子どもの眼瞼下垂の治療法は、まぶたの下がり具合や視力への影響度によって変わります。

軽度であれば経過観察になるケースが多い一方、重度や視界の遮りが強い場合には手術を検討します。

軽度の場合は経過観察

まぶたが黒目に軽くかかっている程度(開き度合いの測定で1.5mm以上)で、視力への影響が確認されない場合は、定期的な検査を受けながら経過を観察することが一般的です。視覚刺激を十分に受けられていれば、すぐに治療を行う必要はありません。

また、成長にともなって顔の骨格や筋肉の変化により、まぶたの開きが自然に改善するケースもあるため、思春期以降に手術を検討する場合もあります。

重度や視力に影響がある場合は手術を検討

視力の発達に支障をきたしている場合や、視野が大きく妨げられていると診断された場合には、3歳以降に手術が行われることが多いです。これは、視力検査が可能になる年齢であり、弱視の診断がつけやすいためです。

ただし、重度の眼瞼下垂で瞳孔がほぼ隠れているケースでは、視覚刺激の不足によって視力の発達が阻害されるおそれがあるため、より早期の対応が求められます。

子どもの眼瞼下垂の手術法は、まぶたを持ち上げる筋肉の機能に応じて選択されます。

手術法 概要
挙筋前転術 挙筋の力がある程度保たれている場合に適応。まぶたを持ち上げる筋肉をおりたたんで瞼板に固定する
前頭筋吊り上げ術 挙筋機能がほとんどない、極めて弱い場合に用いられる。大腿部の自己組織や人工素材を使用し、額の筋肉を利用してまぶたを引き上げる

いずれの術式も、症状の程度や成長段階に合わせて適した方法が選ばれます。

子どもの眼瞼下垂治療の費用相場

子どもの眼瞼下垂治療の費用相場

子どもの眼瞼下垂手術が保険適用になるかどうかは、重症度や機能的な障害の有無によって判断されます。

手術が検討される主なケースとして以下のような症状があります。

  • まぶたの開きが著しく悪い場合(MRD-1の値が-0.5mm以下)
  • 視力や視野に明らかな影響が出ている場合
  • 子どもが無意識に頭を後ろにそらせる、眉を持ち上げて目を開けようとするなど目を開けるための代償動作をしている場合

このような症状があると、日常生活に支障をきたしていると判断されることが多く、保険が適用されます。しかし、自己判断ではなく、専門医による適切な診断が必要です。

手術費用は、保険適用の場合、片目で約3万円程度、両目で約5万円程度が一般的ですが、麻酔や検査費用により異なる場合もあるため、事前に確認しましょう。

また、地方自治体によっては子どもの医療費助成制度が利用できる場合もあります。制度の詳細や申請方法については、お住まいの市区町村に確認することをおすすめします。

まとめ

子どもの眼瞼下垂は、先天性・後天性にかかわらず、視力の発達や日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。特に視界が遮られている場合や、首を傾けるなど、不自然な姿勢がみられる時は早めの受診がおすすめです。

ひふみるクリニック』では、眼瞼下垂の手術実績が豊富な医師が、専門知識をもとに、お子さん一人ひとりの症状に応じて、わかりやすい説明と丁寧な診察・治療を行っています。子どもの眼瞼下垂は特に早期診断・治療が重要です。お子さんの気になる症状に気づいたら、お気軽にご相談ください。

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